株の始め方から応用まで シノ先生流株式投資

投資歴5年の個人投資家が、これまで学んだ株の基本やテクニックなどを紹介していくブログです

株は返済義務のない借用書である 株を持つ意味「議決権」について

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質問です。株主が企業に対して「この株券はおたくの会社から10000円で買ったものだが、株券を返すから10000円を返して欲しい」と言った場合、企業は返済義務があるでしょうか?

 

答えは「返済義務はない」です。

 

 

株券には償還義務、すなわち企業が現金化する義務がありません。

つまり株式とは、返済義務のない借用書なのです。

 

もし企業が銀行から金を借りれば、当然それは返済義務があります。利子をつけて期限までに返さなければなりません。

あるいは、企業が株式としてではなく、どこかの資産家に融資をしてもらったり、社債を発行して現金を集めた場合も同様の返済義務が生じます。

しかし株式にはそれがないのです。返済義務を負わずに現金を手に入れられるため、企業はできるだけ株式を発行して資金を集めたがるのです。

 

では、わざわざ現金を出してまで、そんな株券をなぜ投資家は買うのか?

それは、株券を持っている者は、その会社に対して議決権を持てるからです。

議決権とは文字通りの意味で、例えばその会社の社長を決めたり、配当金の額を決めたり、その他さまざまな決定事項に「賛成」「反対」の票を投じる権利です。

極端な話ですが、もしあなたがトヨタ自動車の株を買った場合、あの天下の大企業の社長を誰にするか、あなたにも決定権があるということなのです。

そのため、株式会社の所有者(オーナー)は「株主」であるというのが資本主義の大原則になっているのです。

 

しかし、そうはいっても株は大量に発行されています。株主には、その人が所有する株式数によって議決権が割り振られるため、大量に株を持っていればそれだけ多くの議決権を持ちます。1単元(基本的には100株)ごとに1つの議決権が与えられているため、もしあなたがトヨタの株を100株だけを所有していれば持てる議決権は「1」になります。わかりやすく言うと、AKB48のCDを1枚買えば投票権が1枚貰え、たくさん買えばその分だけ投票権がたくさん貰えるようなものです。

いくらあなたが「次のトヨタの社長は俺の息子にしたい!」と言ったところで、あなた以上の株を所有している人たちが反対すれば却下されます。参考までにトヨタの発行済株式を述べておきますと32億5千万株です。17億株ほどを所有すればトヨタの社長を自由に決められますが、そのために必要な資金はおよそ11兆円になります。そんなに金を持ってるなら株なんか買わなくてもいいと思います。

 

しかし、そうはいっても一票は一票です。衆議院議員選挙などでも、議員たちは一票でも多く欲しいために熾烈な争いを繰り広げます。

例えばA社がB社を買収したいとします。その場合、A社はB社の株を一定数以上買い占める必要があります。なぜなら、株を持っていないとその会社に対する議決権がないためです。B社の経営陣たちが「A社の買収に応じたい」と考えたとしても、株主たちが「駄目だ」と言ったら駄目だからです。経営陣は案を出すことはできても、決定権はあくまでも株主にあるのです。

なので、A社はB社の株主たちから株を買い取るのです。当然、株主たちは現在の市場価格より高くしないと売ってくれないので、株価はうなぎのぼりに上昇していきます。

テレビニュースなどでもたまに見かける、M&Aなども買収の一種です。これが決まると株主は所有株をかなりの高値で売ることができます。

もっとも、現実には経営陣のトップである社長とその家族などが、その会社の株の半数以上を所有する大株主ということもあるので(創業社長などは特に多い)、経営陣の判断がそのまま株の売却につながることも多いです。

 

もっとも、このような劇的な買収案件がなくとも、企業が利益を上げ、社会的に成功して行けば、その企業に対する議決権の価値も相対的に高まります。そうなれば自然と株価は上昇しますので、株主にとっては利益になるのです。

逆に企業が赤字を出して転落して行けば、そんな会社の議決権を欲しがる人は減りますので、株価は下がっていきます。

株を売買するときの基準の1つは、このように株を発行している企業がこれから成功していくのか、あるいは転落していくのかという予想をするところにあるのです。