株の始め方から応用まで シノ先生流株式投資

投資歴5年の個人投資家が、これまで学んだ株の基本やテクニックなどを紹介していくブログです

株で儲けた給与所得者の税金はどうなるか? 確定申告不要の特定口座を利用しよう

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これから株を始めようと思う人の多くが心配するのが、税金のことかと思います。

捕らぬ狸の皮算用とは言いませんが

 

「会社に書類とか提出しないとマズいかな」

「税金の計算面倒くさいし、確定申告ってやったことないんだよな」

「株で儲け過ぎたら年間の所得が増えて、給料から引かれている所得税や住民税の利率変わっちゃう? もしかして確定申告するときに追加納税しないといけない?」

 

など、いろいろと思うところがあるかとも思います。

結論から言いますと、証券会社に開いた口座を『特定口座』かつ『源泉徴収あり』に指定すればそういった心配はしなくて大丈夫です。

確定申告の必要も、書類申請も、給与にかかる所得税や住民税が変化することもありません。

 

この『特定口座』と『源泉徴収あり』を選択することは、まったく難しくありません。

口座開設時に必要事項を入力しますが、必ずこれについては聞かれます。

 

『特定口座』と『一般口座』、どちらで開設しますか?

と聞かれますので、特定口座を選択してください。

 

続いて『源泉徴収あり』と『源泉徴収なし』のどちらにしますか?

と聞かれますので、源泉徴収ありを選択してください。

 

これだけで、株の運用に関しては会社への書類提出、確定申告などは不要になります。

 

では、この特定口座と一般口座とはなんなのか。その性質について解説します。

特定口座とは、証券会社が株の売買や配当金にかかる税金の計算をすべて代行してくれる口座です。個人の資産運用が円滑に行えるように導入された制度で、まさに個人投資家が活動しやすくなるように生まれた制度です。

この特定口座では、その人が株取引でいくら損益があるか、さらにそれにかかる所得税や住民税はいくらか、などを計算から書類作成まですべて代行してくれます。

 

一方、一般口座とはそういった代行業務を一切行わず、すべて投資家本人が行う口座です。

株をいくらで買ったのか、いくらで売ったのか、それにかかる税金はいくらか、などの計算から書類作成まで、すべて自身で行う必要があります。

 

これだけ聞いた人はみんな思うでしょう。

「それって一般口座を選ぶメリットあるのか?」と。

はっきり言ってメリットはほぼないです。

いちおう一般口座を選ぶメリットとしては、所得控除で相殺できるだけの年間利益しか上げない場合というのがあるのですが、これを満たすのは、投資家が『無職』に近い収入しかなく、かつ『株で利益をほぼあげない』という条件を満たす場合のみです。

それ以外の場合は特定口座にしておく方が全てにおいて便利です。

悪いことは言わないので、初心者の方は特定口座にしておく方が賢明と筆者は思います。

 

そして『源泉徴収あり』と『源泉徴収なし』についてですが、これは文字通りの意味で源泉徴収を証券会社に代行してもらうかどうかの選択です。

これについては、先ほど特定口座の説明で『証券会社が投資家の代わりに面倒な税金の計算や書類作成を行ってくれる』と述べましたが、この時点ではあくまでも『計算をして書類を用意した』という段階です。納税までは行っていません。

 

そこで『源泉徴収あり』を選択しておけば、証券会社が納税の部分までやってくれるので、結果的に翌年の確定申告も不要になります。

もし『源泉徴収なし』を選んでしまうと、年明けごろに税務署へ株の損益に関する確定申告を行う必要が生じます。

あえて『源泉徴収なし』を選ぶメリットは、複数の証券口座を所持している場合や、納税を先送りできることによる運用資金の確保などがありますが、なにか特別な事情でもないのなら、初心者は源泉徴収ありをお勧めします。

とにかく、この『特定口座、源泉徴収あり』の組み合わせにしておけば、面倒な手続きは全て省くことができます。

いずれ株取引について熟達し、一般口座や源泉徴収なしをうまく活用できるようになったなら、その時にまた考えればいいと思います。

 

最後に所得税や住民税の割合についての話。

「株で大儲けしちゃったら、年間の所得が増えるので所得税や住民税の税率も上がり、会社からもらった源泉徴収済みの給料も、不足分を確定申告で追加納税しないといけないのでは?」と考える心配性な人もいるかもしれません。

結論をいいますと、やはり『特定口座の源泉徴収あり』を選んでおけば、そういった心配は不要です。

 

そもそも、株に関する利益は『申告分離課税』という税制度が採られています。

文字通りの意味で『株の利益に関する税申告は、それ以外の収入とは分離して計算する』ということです。

もっと簡単に言えば『株の利益』がいくらであろうとも、給与に対する税率には影響がないということです。

言い換えれば、給料をいくらもらっていようとも株の利益に対する税率にも影響しないということです。

 

2019年現在、株の利益に対する税率はおよそ20%で固定されています。

なので、もし株で年間100円しか利益が上がらなかっとしても、20円は税金で持っていかれます。

逆に、株で100億円儲かったとしても、20億円しか税金はもっていかれません。

そして、これらは給料など『株などの投資以外の収入』とは完全に分けて計算されます。

 

例えば、あなたが会社勤めのサラリーマンで、給与を年間1000万円貰っていたとしましょう。会社が源泉徴収した額が400万円だったとします。

この場合でも、株の利益が100円ならそれにかかる税金は20円ですし、株の利益が100億なら20億円です。

そして、どちらの場合でも会社が源泉徴収する額は400万円のままです。

これが申告分離課税です。

 

ちなみに、申告分離課税以外の納税方法もあります。

株の利益をそれ以外の収入(給料など)と合わせて申告する方法です。これを総合課税と呼び、確定申告でこの方法を用いることも可能です。

しかし、これは税金の計算がメチャクチャ面倒くさくなるし、給与などをもらっている人は会社とのやり取りが非常に煩雑になり、所得税や住民税、さらには様々な控除が受けられなくなる可能性がありますので、初心者にはお勧めしません。

これから株を始めようという人は、まずは『特定口座』の『源泉徴収あり』にしておき、何かの事情で確定申告を行う場合は申告分離課税のままにしておけば、株についてはなにも申告しなくて大丈夫です。

これは、けっして申告を誤魔化しているわけではありません。特定口座の源泉徴収ありを選択しているなら、証券会社は勝手に税務署に書類を送って、源泉徴収した税金を全て納税してくれているので、申告をする必要がないということです。

 

もちろん、この『特定口座、源泉徴収あり』はサラリーマンでなくとも利用できます。

自営業だろうが年金生活者だろうが、無職であろうが学生であろうが。

面倒な税金計算や確定申告を省きたいのならば、間違いなくこの組み合わせがベストであると筆者は考えます。